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黒澤清監督の「カリスマ」の顛末と木の正体を考察してみました。
籠城犯の説得に失敗し、犯人も人質も死なせてしまった藪池刑事は、“世界の法則を回復せよ”という、犯人が残した謎めいたメッセージに導かれるように、ある奇妙な森を訪れる。そこには強烈な毒素を周囲にまき散らす、“カリスマ”と呼ばれる1本の老木が生えていて、さまざまな人々がそれをめぐって対立を繰り広げていた。藪池は森の植物の研究をする美津子とその妹の千鶴、カリスマを守ろうとする青年・桐山らと知り合うが……。(公式サイトより引用)
※以降はネタバレを含みますので、本編を視聴した後で読むことをおススメします。
※下ページからはネタバレを含みますので、本編を視聴した後で読むことをおススメします。
猫島の登場で、物語が一気に物々しくなり、”カリスマ”の武力行使での奪い合いが勃発。銃撃戦の最中に突然現れた神保姉妹がカリスマを奪い、焼いてしまう。
落胆する桐山、安堵する神保教授、オオワライタケで打ち上げをする中曽根・坪井。その様子を冷ややかに見ている猫島。そんな中、藪池が2本目の”カリスマ”を見つけたと桐山、神保教授に伝える。
後半、”カリスマ”が焼かれたことで、”カリスマ”を巡って争っていた人々の争いに決着が着いた…はずだったのだが、藪池が2本目の”カリスマ”があると言い出すことで、物語が更に混沌としていく。
藪池が見つけてきた2本目の”カリスマ”はただの巨大な老木だった。藪池にとっては、その老木が真に”カリスマ”かどうかに意味は無くなっており、世話を始める。桐山は老木を”カリスマ”だとは認められず森を出る覚悟を決める。神保教授は老木が”カリスマ”ではないことを理解しているのに、執拗に2本目の”カリスマ”も破壊しようとこだわり、猫島は老木を新しい”カリスマ”として自分だけのものにしようとする。神保妹は混乱に乗じて猫島が持ってきた”カリスマ”の手付金1,000万円を持って逃走し、中曽根・坪井が追う。
”カリスマ”を爆破し、森を去る藪池。刑事部長と携帯で通話する目線の先には燃える街が見えるというエンディング。
木=個人、森=社会であるということで登場人物達の社会に対する個人の在り方が語られるが、
劇中に何度か出てくる「世界の法則を回復せよ」というのは、”カリスマ”により保たれていた社会秩序が、崩壊してしまったことを指すんだと思いました。
中曽根の部下たちが、”カリスマ”が燃えたことで殺人集団になってしまっていたこと、秩序の代表だった桐山を受け入れなかったこと、貨幣になびかなかったこともそういう事だと思います。
出典:公式サイト
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