作品紹介
無限に繰り返される空間に閉じ込められた人々を待ち受ける予測不能な運命を描き、世界各地の映画祭で注目を集めたメキシコ製スリラー。
監督・制作・脚本 | イサーク・エスバン | 「パラレル 多次元世界」「ダークレイン」 |
撮影 | ロドリゴ・サンドバル | 「プライベートネットワーク」 |
撮影 | ベガ・ヒル | |
音楽 | エディ・ラン | 「パラレル 多次元世界」「ダークレイン」 |
あらすじ
刑事に追われた兄弟が逃げ込んだ非常階段。刑事は2人を追うが1階の階段を下るとそこは最上階の9階だった…。さらに下るとまた1階に辿り着く。その下はまた9階…。刑事に足を撃たれた兄は瀕死となり、3人は途方に暮れる…。別れた夫に子供たちを預ける為、妻は2人の子供を連れ中年の恋人の運転する車で荒涼とした大地を横断するドライブに出る。しかしいくら走っても目的地に着かない。4人は同じ道を走っていることに気づく。やがて年下の娘は喘息の発作を起こし…。今、体験していることは夢なのか?それとも現実なのか?そして彼らはこのループする空間から無事に脱出できるのか!?
※以降はネタバレを含みますので、本編を視聴した後で読むことをおススメします。
【非常階段】ループ開始
兄弟が刑事から逃げようと非常階段に入ったところ、爆発音が聞こる。すると、非常階段のすべての扉が開かなくなってしまう。更に9階から1階に降りてもまた9階に逆戻り。9階から上に登っても1階へとたどり着いてしまう、不条理なループする世界に取り込まれてしまう。
やがて兄カルロスは刑事マルコに撃たれた足の傷により死亡。残されたオリバーとマルコは絶望するが、階段に設置された自動販売機の食料や水はいくら食べても自然と補充されることに気がつく。
- マルコ(ラウル・メンデス)
結婚記念日を控えた刑事。カルロスを撃ってしまい狼狽する。写真右
- カルロス(ハンブルト・ブスト)
兄弟の兄。自宅に帰宅したところをマルコに踏み込まれ、弟と逃げるが非常階段で足を撃たれてしまう。非常階段から脱出できず出血多量で亡くなる。
- オリバー(フェルナンド・アルバレス・リベイル)
兄弟の弟。兄カルロスに頼りきりの気弱な青年。兄を撃ったマルコに激怒する。写真左。
【一本道】ループ開始
サンドラと2人の子供、サンドラの恋人であるロベルトの4人が、サンドラの元夫が勤めるホテルで休暇を過ごすため車で目的地に向かっている。道中の休憩に寄ったガソリンスタンドでロベルトはカミーラにグァバジュースを与えるが、カミーラが喘息の発作を起こしてしまう。焦ったロベルトが吸引器を割ってしまったため、大急ぎで来た道を戻ろうするが爆発音が聞こえ、一本道から抜けることが出来ないループ世界に取り込まれてしまう。
- ロベルト(エルナン・メンドーサ)
サンドラの恋人。カミーラに与えたグァバジュースがもとでカミーラが喘息の発作を起こした上に、大事な吸引機を割ってしまう。
- サンドラ(ポーリーナ・モンテマイヨル)
ダニエル、カミーラの母親。元夫の勤めるリゾートで休暇を過ごそうと向かう。
- ダニエル
サンドラの息子で兄妹の兄。反抗期ということもありロベルトに対して露骨に嫌な態度を示す。父親と会うのは久しぶりで楽しみにしている。吸引器の予備を鞄に入れ忘れる。
- カミーラ
サンドラの娘で兄妹の妹。アレルギーを持っており喘息の発作を起こし、亡くなってしまう。
【非常階段】35年後
非常階段に閉じ込められてから35年が経過。時間とともに供給され続けた自動販売機のお菓子と飲み物、死んだカルロスのリュックの中身が大量に、そして理路整然と整理され壁に敷き詰められている。自動販売機の水のペットボトルを工夫しシャワーも設置されている。
- マルコ
朽ちた老人。足が不自由になっており、非常階段に来る前の想い出を狂ったように壁に描き続けている。
- オリバー(ラウル・メンデス)
非常階段を上手に利用し、毎日トレーニングを続けたことで筋肉隆々な姿になっている。読書をしシャワーを浴び髭を整え、堕落せず堅実な生活を続けている。兄を殺したマルコを恨んでいたが共同生活を通して関係は変わり、マルコの介護や下の世話も助けている。便はペットボトルに詰めて壁に並べている。
- カルロス
骨の状態で壁に祀られている。
【一本道】35年後
一本道に閉じ込められてから35年が経過。ガソリンスタンドの売店の菓子の袋が散乱。
- ロベルト
堕落しきった生活を続けており、菓子を食べビールを飲み、日中から廃人のサンドラを抱く日々を延々と続けている。
- サンドラ
カミーラが亡くなったことで廃人となってしまう。
- ダニエル(ラウル・メンデス)
ロベルトを軽蔑し、荒野に手製のテントを建て一人で生活している。サンドラが亡くなったことで、久しぶりにロベルトと顔をあわせる。
老人たち(マルコ・ロベルト)の告白
死期が近づいたマルコとロベルトは突然、何かを思い出す。マルコはオリバーに、ロベルトはダニエルに忘れていた事実を必死に伝えようとする。
- 自分がもとは全く別の人間であったこと。
- 別の場所でも35年間ループに囚われた経験があったこと。
- そのことを全て忘れてしまっていたこと。自分の名前を決して忘れてはいけないこと。
マルコとロベルトは全てを伝えると亡くなってしまう。
【一本道】ロベルトの過去
ロベルトは過去、ルーベンという名の少年でイカダの上で指導員とともに35年間のループ生活を経験したことを思い出す。指導員が死んだことでループから脱出したルーベンは、自分がルーベンであったことも以前のループ世界での出来事も全て忘れてしまいロベルトとして、ダニエルと次の35年間のループに入ることとなる。
【非常階段】マルコの過去
マルコは過去、ダニエルという名の少年で一本道で35年間のループ生活を経験したことを思い出す。自分がダニエルであったことも以前のループ世界の出来事も全てを忘れてしまっていた。
因果の連鎖
ループは35年周期で起こっており、決まって中年、若者、生贄の3者が選ばれる。生贄の死によりループが発動、35年後に中年が老人となって死ぬことにより、中年になった若者はループから解放される。
しかし解放されたのもつかの間、新たな名前と記憶を与えられて今度は中年として、若者、生贄とともに別のループに35年間閉じ込められてしまう。
【一本道】ダニエルのその後
- ダニエル(ラウル・メンデス)
ロベルトが亡くなったことで一本道の先に無人のパトカーを見つけたダニエル。ロベルトの言葉を破り、パトカーに乗り込む。制服を着たダニエルは記憶を失い、警官マルコに変わる。
【非常階段】オリバーのその後
- オリバー(ラウル・メンデス)
マルコが亡くなったことで非常階段を脱出したオリバーはエレベーターに乗り込むが、そこにあったホテルマンの制服を着たことで、オリバーだった頃の記憶を全て失い、ホテルマンのカールとして次のループに囚われてしまう。
ループ世界の真実
視聴者の声
最後の種明かしをきちんと口で説明しすぎた気もするから、なんとなーくぼやかして映像で見せてくれたらもっとよかったかなぁ。
— A (@ttmr1010) March 22, 2023
一応何かしらの教訓があるとすれば、「日々をきちんと生きよう」だろうし、素直にそう思った。
同監督の「ダークレイン」もそのうち見たい
『パラドクス』イサーク・エスバン監督鑑賞。メキシコ産SFスリラー。まずジャケで騙されないように!あんなシーンはありません(^v^)ただもの凄く怖い作品なのは確か。前半はやや退屈に感じるかもしれないが、がらりと様子が変わる後半がとにかくヤバイ。確かに難解だけどねぇ~→
— 松川慎 (@lonllywolf) March 5, 2016
イサーク・エスバン監督『パラドクス(英題:The Incident)』観了。ビルの非常階段に閉じ込められた3人の男、田舎の一本道に閉じ込められた4人家族、それぞれのループ世界を描くメキシコSF。歳月の重みや人生のゼロサムを表現しているところが新しい。オススメ。
— yoshihyde 📽️ (@yoshihyde) April 16, 2016
『パラドクス』
— NAOKO (@marmotter) August 11, 2018
どのエピソードもとても良いんだけど、暗転が多すぎてその度にテンポが悪くなるのが残念だった。もう少しスムーズに場面を繋げられたら、もっと傑作になったかも。
しかしこのイサーク・エスバンという監督は今後注目だな!絶対性格悪い!(褒めてる)
いやーこの監督はすげぇかもしんねぇ。二作連続でこういうの作れるって事は本物かもしんねぇ。本物のアレかもしれねぇ。ここまで読んで勘のいい人は分かってますよね。ええ、僕の大好物でした最高でした。僕の大好物って事は分かってますよね。ええ、オススメはしません。体感したい人だけ体感しろ。
— ひし (@hisibird) February 17, 2023
作品イメージ
視聴はコチラ
©Yellow Films 2014
コメント