東北のとある“開拓村”で起きた奇怪な連続殺人事件の顛末をコメディタッチで綴る異色サスペンス。国策に翻弄され、過酷な現実に追い詰められた母娘が、周囲の男たちを相手にいかに生き抜いていったかをデフォルメした描写の中にブラックな笑いを散りばめ描く。主演は「黒い家」「阿修羅のごとく」の大竹しのぶ、共演に「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」の伊藤歩。
2004年公開/119分
英題:Owl
監督・脚本 | 新藤兼人 | 「鬼婆」「薮の中の黒猫」「三文役者」 |
撮影 | 三宅義行 | 「さくら隊散る」「墨東綺譚」 |
編集 | 渡辺行夫 | 「島々清しゃ」「トキワ荘の青春」 |
音楽 | 林光 | 「一枚のハガキ」「生きたい」「北斎漫画」 |
あらすじ
住民が出て行った希望カ丘開拓村に残る一軒の荒ら屋に住むユミエ(大竹しのぶ)と娘エミコ(伊藤歩)。食べ物もなく餓死寸前となった2人はある計画を企て、美しく装い勧誘の電話をかける。やがて、ダムの工事現場で働く男がやってくるが……。
※以降はネタバレを含みますので、本編を視聴した後で読むことをおススメします。
登場人物
- ユミエ(大竹しのぶ)
37歳。3歳のときに両親と満洲から引き揚げ、希望ヶ丘開拓村で生活してきた。貧しい土地で周りのの住人たちは逃げ出し村に唯一残った。夫は東京に出稼ぎに行ったきり蒸発。困窮を極めネズミや木の根を食べるほどだったが、一念発起。200円でダム工事の現場に電話で売春を告知し、酒を買う。売春目的で荒ら屋にやってきた男たちを殺害し金品を奪っていく。
- エミコ(伊藤歩)
ユミエの娘。17歳。ユミエが身体を売った後、油断した男に農薬入りの焼酎を飲ませ殺害する役目。ユミエ同様、奔放で罪悪感などは無い。
- ダム男A(木場勝己)
ダム工事現場で働く男。ユミエの電話を受け、荒ら屋にやって来る。東京で勤めていた会社からリストラされ、ダム工事の仕事をするためにやってきた。ユミエに二万円を渡す。農薬焼酎で殺される。
- 電気工事人(六平直政)
42歳の独身男性。ダム男Aから奪った金で電気代が払われたので、荒ら屋に電気工事にやってくる。ユミエにそそのかされ2万円を払う。農薬焼酎で殺される。
- ダム男B(柄本明)
ダム工事現場で働く男。ダム男Aに聞き荒ら屋にやって来る。ユミエに5万円を渡す。農薬焼酎で殺される。
- 電気屋の上司(魁三太郎)
電気工事人を探しに荒ら屋にやって来る。農薬焼酎で殺される。
- 水道屋(田口トモロヲ)
独身男性。電気屋の上司から奪った金で水道代が支払われたため、荒ら屋に水道を通しにやって来る。2人のためだけに山中まで水道を通すことが、どれだけ大変かを説く。他の家庭から集金をした30万円を持っていたのでユミエに引っ張り込まれ、農薬焼酎で殺される。
- 巡査(池内万作)
警察官。行方不明者が多数出ているため荒ら屋に注意喚起のため訪れる。妻は2年前に亡くなっており独身。ユミエの誘惑に乗ろうとするが、引揚援護課の男がやって来たため取りやめて麓に戻る。
- 引揚援護課の男(蟹江一平)
希望ヶ丘開拓村を支援する県の役人。亡くなった父親が推進した希望ヶ丘開拓村が失敗だったとユミエとエミコに謝罪するためにあばら家にやって来る。エミコと売春し童貞を卒業。責任をとり自殺するつもりだったので持ち金の48万円をユミエに渡す。しかし、エミコが忘れられず数日後にあばら家に戻って来る。
- ダム工事現場の監督(原田大二郎)
行方不明になった2人があばら家に来ていたことを知り、様子を伺いにやって来る。上から目線な態度にエミコが怒り鎌で殺害しようとする。土下座して謝罪する。エミコを買ったあと農薬焼酎で絶命。
- 浩二(大地泰仁)
エミコの幼馴染。元は希望ヶ丘開拓村で生活していたが、農家として生活出来なくなり大阪の親類を頼り村から出ていく。しかし大阪では父親が亡くなり、母親が冤罪をかけられたため自殺してしまう。自殺の原因となった家庭を銃で襲撃し相手を殺害。希望ヶ丘開拓村で死のうと逃亡してくる。
視聴者の声
『ふくろう』っていう大竹しのぶが主演の映画を視聴
— 宗沢木 駿代 (@aoi_munasagi) December 27, 2020
社会から見捨てられた母娘が生き抜く為におびき寄せたダム建設作業員、電気屋、水道屋と次々に手を掛けていき彼らの遺した現金で生活する様になる
ついには巡査や満州引揚擁護課の男などが関わる様になる
なんの前情報もなく、先入観もなしでみたら、とても面白かった映画「ふくろう」新藤兼人監督。大竹しのぶはやっぱり持ってるなぁ~、素晴らしい怪演!演者も何気に名優揃い。伊藤歩も好き。少し古い映画の方が奥深くて面白いという不思議。まるで舞台を観てるみたいで最高な作品だった!
— 艶子 (@kumom777) April 9, 2016
新藤兼人『ふくろう』森の番人ふくろう、夜、鼠を喰らう…。満州引揚者の為の不毛の開拓村、生き残りの母娘(大竹しのぶ・伊藤歩)は飢餓からの脱却を期し、次々男達に体を売り毒殺し有金を奪う。反権力、社会批判を盛り込む一軒家を舞台にした室内劇。ほとんどコント、ブラックな笑いアナーキーな佳作 pic.twitter.com/hfN0eIvvvI
— 魔の山 (@manoyama12) June 17, 2021
アマプラで「ふくろう」っていう、大竹しのぶ、伊藤歩主演のトンデモ映画見た。山奥の村で残された母娘が何とか生きるために、売春してはその男たちを殺してご飯を食べて、っていう映画。大竹しのぶの演技がすごいんだけど、これは映画の文脈ではなく、演劇の文脈で見たいし、舞台化してほしい。
— ジブリ新作を浴びた天野 (@amanobb) December 27, 2018
ふくろう
— いとー (@mayukima) April 21, 2021
セクシーでサイコな役の大竹しのぶが本当にすき。。
泡吹いて倒れる男達がそれぞれ個性に溢れててよかった。 pic.twitter.com/HoBBErBdbG
大竹しのぶ主演の ふくろう という映画をつい最後まで見てしまった。不思議な魅力のある映画だったなぁ。つげ義春の漫画のような魅力でした。大竹しのぶの演技は、こわいくらいでした。
— haruka.murooka (@CaramelOrange) October 12, 2010
作品イメージ
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