「輪るピングドラム」”家族”という呪い。救われなかった子供たちの物語

4.0
アニメ「輪るピングドラム」イメージ アニメ

最初はラブコメだと思って見ていたら、オウムの地下鉄サリン事件をベースに加害者家族と被害者家族のその後に焦点を当てた物語だったのでビックリしました。

画はポップだから見やすいんだけど、かなり重いテーマを扱っているよね。親が起こした16年前の事件の何の罪もない息子・娘の話を中心に、家族に未来を潰された子供たちの物語が描かれているのよね。気分が悪くなるような嫌な描かれ方はしていないけど、毎回「回想」シーンが重いのよ。

「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」

輪るピングドラム』は、ブレインズ・ベース制作による日本のテレビアニメ作品。2011年7月から12月まで毎日放送・TBSほかにて放送された。

出典:公式サイト
Ⓒikunichawder/pingroup
原作イクニチャウダー「劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM」
原案・監督・シリーズ構成幾原邦彦「少女革命ウテナ」「さらざんまい」「美少女戦士セーラームーンR」
制作ブレインズ・ベース「ゴールデンカムイ」「不滅のあなたへ」「海月姫」
脚本伊神貴世「月とライカと吸血姫」「ユリ熊嵐」「神様のメモ帳」
音楽橋本由香利「なつぞら」「とらドラ!」「さよなら絶望先生」

あらすじ

子供たち3人で暮らす高倉家。双子の兄は冠葉と晶馬。2人は体が弱く入院がちな妹・陽鞠とつつましくも幸せに暮らしていた。陽鞠の体調も良いある日、3兄弟は水族館へ出かけることにした。久々の3人での外出にはしゃぐ陽鞠。兄たちは目を放した隙に陽鞠を見失ってしまった。その後、兄弟が目にしたのは人垣の中で倒れている陽鞠だった。搬送された病院で、もはや手の施しようがないことを告げられる。亡骸を前に悲嘆にくれる2人。すると突然、水族館で買ったペンギンの帽子をかぶった陽鞠が起き上がり、そして兄弟に高らかに宣言した。「妾はこの娘の余命をいささか伸ばしてやることにした。もし、このままこの娘を生かしておきたくば・・・・・・ピングドラムを手に入れるのだ!!」

放送時系列


※以降はネタバレを含みますので、本編を視聴した後で読むことをおススメします。

Bitly

登場人物

  • 高倉冠葉かんば(木村昴)
    高倉家の長男で、晶馬と陽毬の兄。1995年3月20日生まれの16歳。都立外苑西高等学校2年生。弟の晶馬と違い、女性の扱いに長けているプレイボーイ。陽毬の治療費をどこからか集めてくる。

    実は、夏芽家の長男なので晶馬、陽毬と血は繋がっていない。冠葉の父が亡くなったため、高倉家に引き取られることになる。陽毬を愛しており、彼女を救うため”企鵝の会”に協力し、世界を変えようとする。
「輪るピングドラム」高倉 冠葉(木村昴)
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  • 高倉晶馬しょうま(木村良平)
    高倉家の次男。冠葉の弟で陽毬の兄となっている。1995年3月20日生まれの16歳で都立外苑西高等学校2年生。高倉家では家事全般を担当。

    実は、高倉家の唯一の実子。2人のことを血縁でなくとも本当の家族だと考えており、暴走する冠葉を止めようとする。
「輪るピングドラム」高倉 晶馬(木村良平)
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  • 高倉陽毬ひまり荒川美穂
    高倉家の長女。冠葉と晶馬の妹。性格は純粋で家族思い。学校には行っていない。難病で突然亡くなってしまう。

  • プリンセス・オブ・ザ・クリスタル荒川美穂
    陽毬がペンギン帽を被っている時に出現する謎の別人格。陽毬の延命を条件に「ピングドラム」を手に入れるよう、高倉兄弟に命じる。決め台詞は「生存戦略、しましょうか」。「ピングドラム」の正体は教えてくれない。
「輪るピングドラム」プリンセス・オブ・ザ・クリスタル(荒川美穂)
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  • ペンギン1号・2号・3号(木村昴/木村良平/荒川美穂)
    高倉家の3人にしか見えないペンギン。兄弟に一匹づつ付いており彼らに付いてまわる。それぞれに個性がある。
Screen Shot 0023-11-06 at 4.17.04 AM
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  • 荻野目苹果りんご(三宅麻理恵)
    「ピングドラム」を持っているらしく、高倉兄弟が尾行したところ多蕗のストーカーだと分かる。
    姉の桃果が亡くなった日に産まれたため、自身を桃果の生まれ変わりと信じており、桃果が遺した生前の日記をなぞった生活をしている。それは自身が桃果の代わりになれば離婚した両親との生活が戻ると信じている。多蕗と桃果が結ばれるはずだったと信じ、桃果の代わりに自分が多蕗と結ばれるために晶馬に協力させる。
「輪るピングドラム」荻野目 苹果(三宅麻理恵)
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  • 多蕗たぶき桂樹(石田彰)
    高倉兄弟の高校の担任の先生。荻野目苹果の姉、桃果とは幼馴染。

    実は、幼少時に才能ある者しか愛さない母親に捨てられることを恐れ自身を傷つけるが、結局見捨てられてしまう。生きる意味を失っていたところを救ってくれた桃果に感謝し、特別な存在になる。自身と同じく桃果の記憶を共有している時籠ゆりと婚約する。
「輪るピングドラム」多蕗 桂樹(石田彰)
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  • 時籠ときかごゆり(能登麻美子)
    「サンシャニー歌劇団」虹組で娘役を務める人気女優。多蕗の婚約者で苹果の恋敵。多蕗、苹果とは小学校の同級生。

    実は、幼少期に「お前は醜いから愛されない」と言われ続け、虐待されていた父親から救ってくれた苹果を復活させるために日記を求める。
「輪るピングドラム」時籠ゆり(能登麻美子)
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  • 夏芽真砂子(堀江由衣
    夏芽ホールディングス社長。ピングドラムを探し、苹果の日記を付け狙う。弟のマリオを救うために日記を求める。パチンコの様な改造銃を使い、人の記憶の一部を消失させる赤い玉を使い、冠葉を助ける。口癖「嫌だわ、擦りつぶさないと」。

    実は、冠葉の双子の妹。父親が企鵝の会の幹部だったが、冠葉が父親の元に残ることで真砂子とマリオを夏芽家(一般社会)に戻す。企鵝の会に協力する冠葉を取り戻そうとする。
「輪るピングドラム」夏芽 真砂子(堀江由衣)
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  • エスメラルダ
    真砂子をサポートするペンギン。

  • 夏芽マリオ(荒浪和沙)
    真砂子の弟。

  • 荻野目桃果(豊崎愛生)
    苹果の姉。16年前の事件の被害者で故人。彼女が亡くなったことで多くの人のその後の人生に影響を与える。日記の呪文を使うことで運命を乗り換える(修正する)ことが出来る。その力を使うことで対価を払うことになる。

    実は、16年前の地下鉄で眞悧を止めるために力を使い、呪いの炎に焼かれて世界の風景から消えてしまう。
「輪るピングドラム」荻野目 桃果(豊崎愛生)
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  • 高倉剣山(子安武人)
    高倉三兄妹の父で、「企鵝の会」の指導的幹部。失踪中。
「輪るピングドラム」高倉 剣山(子安武人)
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  • 渡瀬眞悧さねとし(小泉豊)
    謎の人物。口癖は「シビれるだろう?」
    中央図書館の司書や、陽毬の入院した医師として登場する。陽毬の担当医となり延命させる。

    実は”企鵝の会”の中心人物。16年前に桃果との対決により死亡するが、幽霊のような存在になった今も暗躍している。自称、呪いのメタファー。苹果の日記を隠滅させたいが、自分では触れられないため、真砂子を使う。生死をコントロール出来るため冠葉に陽毬を延命させることを目的に世界の破壊を約束させる。
「輪るピングドラム」渡瀬 眞悧(小泉豊)
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  • シラセ・ソウヤ(岩崎愛・高城元気)
    眞悧が助手として連れている2人の少年。

用語解説

  • 子どもブロイラー
    社会から見捨てられた子供たちが送られる場所。子供たちはベルトコンベアーで運ばれ巨大シュレッダーで粉々にされ、「透明な存在」となる。陽毬多蕗は幼少期に子どもブロイラー送りにされたが、晶馬、苹果に救い出される。

  • 企鵝の会(きがのかい)
    冠葉、晶馬の父親が幹部を務めていた宗教団体。16年前に”世界を正す”ことを目的に破壊活動を行い多くの死傷者を出す。

アニメ主題歌

初期オープニングテーマは、やくしまるえつこメトロオーケストラの「ノルニル」。


初期エンディングテーマは、coaltar of the deepersの「DEAR FUTURE」。

エピソード

両親のいない高倉家には3人の兄弟が暮していたが、末妹の陽毬は不治の病に冒されており、担当医の鷲塚医師から余命が長くないと宣告される。数日後、自宅へ帰ってきた陽毬は、兄と一緒に水族館へ行く。数少ない家族の思い出が残るその場所で、陽毬は不思議なペンギンと目が合う……。

陽毬を生かしたければ、生存戦略のため「ピングドラム」を探せ、と冠葉と晶馬に迫るペンギン帽子。妹の命を盾に取られた2人は、「ピングドラム」が何かもわかならないまま、指示された電車に乗車する。そして、「ピングドラム」を所持している可能性がある荻野目苹果という少女の後をつけ、彼女の身辺を探るのだった。

「ピングドラム」が苹果の私物なら、彼女の部屋にある可能性が一番高いに違いない。そう推理した冠葉と晶馬は学校を休み、荻野目家に侵入するのだが、なかなか「ピングドラム」が見つからない。そこへ苹果本人が帰宅してくる。

Screen Shot 0023-08-12 at 2.59.57 AM

晶馬がいつもより遅く起床すると、なぜか苹果が台所にいた。彼女は陽毬に、おいしい卵焼きの作り方を習いに来たのだという。できあがった弁当を持って、多蕗とのデートという名のストーカー行為に励むのだと意気込む苹果に、昌馬は「ピングドラム」の謎を解くため同行する。

今日は陽毬の定期健診。陽毬につきそって東鴎病院に来た晶馬は、鷲塚医師から検査結果に問題はないと聞き、ほっと胸をなでおろす。一方、自宅に残った冠葉は、叔父の池部と向かい合っていた。この高倉の家を売ろうと思っていること、三人はそれぞれ親戚に預けようとしていることを告げられた冠葉は、ある決意を口にする。

事故にあった元彼女・久宝阿佐美の見舞いに訪れる冠葉。しかし彼女の記憶から、冠葉の存在は消え去っていた。同じ頃、自分の「日記」を貸す代わりに協力するよう苹果に言われた晶馬は、苹果の引っ越し作業を手伝わされていた。

多蕗のアパートの床下で生活をはじめた苹果の元に、晶馬は呆れながらも差し入れを続けていた。そんな中、苹果の携帯電話に多蕗から「一緒に劇を見に行こう」というメールが届く。喜んで出かける苹果だったが、それは恋のライバルにして、東池袋サンシャニー歌劇団の娘役スター・時籠ゆりが主演を務める舞台だった。

時籠ゆりと婚約した多蕗は、新居となるマンションへ引っ越してしまった。がらんどうになった多蕗の部屋で肩を落とす苹果。しかし、晶馬が多蕗から受け取っていた転居通知を見つけ、試合続行を宣言する。すっかり振り回され気味の晶馬に、冠葉は次も失敗したら自分が力づくで苹果の「日記」を奪うと告げる。

晶馬が事故に遭った頃、陽毬は自宅で、兄弟妹三人で水族館に出かけた日のことを夢に見ていた。夢の中で、ほかの人間には姿が見えない不思議なペンギンを追っていく陽毬。兄たちと離れ、エレベーターへと乗り込んだ陽毬は、木立に囲まれた白い図書館に辿り着く。

目を覚ますと、晶馬は東鴎病院のベッドの上にいた。一晩中付き添っていた冠葉と陽毬から、軽い打撲で済んだものの、念のため検査入院することを告げられる。一方、陽毬たちと共にずっと付き添っていた苹果は、晶馬が事故に遭ったは自分のせいだから、晶馬に会う資格がないと廊下で佇んでいた。

苹果から残る日記の半分を奪った夏芽真砂子から日記を取り戻すため、冠葉は真砂子の家へと赴く。だが真砂子は自分たちにも日記は必要だといい、日記を渡そうとはしなかった。一方、苹果は、日記が姉の桃果のものであることを晶馬に明かす。そして姉が死んだ日に生まれた自分は姉の生まれ変わりなのだと主張する。だが晶馬は「君は君だ」と返すのだった。

昔起こった事件で多くの人が死んだ。死亡者の中には、10歳になった苹果の姉、桃果も含まれていた。この事件を起こしたのは、晶馬たちの両親である剣山と千江美。2人は犯罪組織の幹部だったのだ。その事実を苹果に明かした晶馬は、君の姉さんが死んだのは僕たちのせいなんだと告げる。

プリンセス・オブ・ザ・クリスタルの力によって蘇生し、生きながらえていた陽毬が再び意識を失い、危篤状態に陥った。冠葉はプリンセス・オブ・ザ・クリスタルに、自分の命で陽毬の命を贖うと告げ、陽毬に命を分け与えようとするが、その努力も空しく陽毬の命は尽きてしまう。絶望する冠葉。だが彼の前に、渡瀬眞悧という医者が現われる。眞悧は冠葉に諦めるなと語りかけると、陽毬を生き返らせるという薬を取り出すのだった。

眞悧の薬によって陽毬は奇跡的に息を吹き返したが、晶馬は苹果への罪悪感に苦しみ、苹果と会うのを避けていた。晶馬に会おうとする苹果に向かって晶馬は、お互い傷つけ合うだけだから僕たちはもう会わない方がいい、と告げる。一方、冠葉は陽毬の病を治す薬を手に入れるための金策に駆け回っていた。なんとかして薬の代金を集め、眞悧に支払った冠葉は、陽毬がいつ退院出来るのか尋ねるのだが……。

晶馬に拒絶され、落ちこむ苹果を熱海の温泉旅館に誘うゆり。彼女は自分が桃果の同級生だったと明かす。そして本当の自分を愛してくれた桃果は自分の運命の人であり、苹果に桃果になって欲しいと妖しく迫るのだった。一方、苹果と別れた晶馬は、苹果にヒドイ事を言ったと後悔していた。そのとき彼の携帯に苹果から電話がかかってくる。電話に出ると苹果は「私もうメチャクチャにされちゃうから」と衝撃的な内容を語るのだった。

温泉旅館の仲居に扮し、ゆりから「日記」の半分を奪うことに成功した真砂子。しかしそれは、ゆりがワザと掴ませたダミーだった。真砂子が次の一手を考える中、夏芽家に使える執事・連雀は、真砂子の信頼にこたえるため、今日も監視と称して冠葉と陽毬の隠し撮りに励んでいた。ところがペンギン帽をかぶった陽毬に見つかってしまったことから、連雀も生存戦略を告げられ–。

いつものように陽毬の病室に見舞いに行く冠葉と晶馬。薬のおかげか最近調子がいいという陽毬から、もうすぐ退院できるかもしれないという報告を受ける。ほっとする2人だったが、突如、ペンギン帽をかぶった陽毬に生存戦略を告げられる。もはや一刻の猶予もないこと、このままピングドラムを放置すれば、一番大切にしているものが損なわれるなどと宣告されてしまう。

陽毬に付き添い、手芸用品店を訪れていた苹果の元に、ゆりから電話が入る。陽毬を含めた3人で食事をする約束をするが、待ち合わせ場所の建設ビルに現れたのは、ゆりではなく多蕗だった。事件のことで高倉家に特別な感情は抱いていないと言っていた多蕗が、なぜか復讐を口にする。そして陽毬を探しまわる冠葉の携帯電話に連絡すると、妹を誘拐したと伝え、父親を連れてくるよう要求するのだった。

父親の居場所を知らないという冠葉に対し、多蕗は代わりに子供が罰を受けるよう迫る。だが多蕗は最後の最後で、なぜか陽毬の命を奪うことはしなかった。しばらくして陽毬が退院することになった。冠葉と晶馬、苹果は陽毬が家に戻ってきたことを喜び、お祝いをするが、陽毬は兄たちには言えない不安を抱えていた。

冠葉と晶馬が留守の隙に高倉家を訪れた真砂子が、陽毬に《思いだし弾》を放った。駆けつけた冠葉と晶馬が真砂子を退けたが、陽毬は記憶の底に沈んでいた「真実」を思い出しはじめていた。翌朝、何事もなかったかのように食卓を囲む3人だったが、「晶ちゃんのお味噌汁はお母さんと同じ味がする」という陽毬の何気ない言葉に、冠葉と晶馬は黙り込むのだった。

苹果の前に、週刊誌の記者だと名乗る男が現れた。地下鉄爆破事件の被害者の遺族にインタビューして回っているのだというその男は、実行犯である高倉剣山の家で他人の子どもたちが兄弟妹として暮らしていることも突き止めていたのだった。苹果いわく悪趣味な腕時計をしている記者は、陽毬の元にもやって来る。高額な治療費の出所を聞かされ、陽毬は3号と共にとある場所へと向かう。

薬代を稼ぐために、冠葉がかつて父が所属していた組織の残党と行動をともにしていると知った陽毬。彼女は命に代えても冠葉を止めると誓い、組織と行動を共にする冠葉の元に身を寄せていた。だが冠葉は、薬が効かなくなった陽毬を救うために、眞悧の計画に従う決意を固める。彼は自分はもう死んでもいいからと懸命に訴える陽毬を残して、池袋駅へと向かうのだった。

冠葉と別れてから意識を失った陽毬は、東鴎病院に搬送されていた。報せを聞いて病院に駆けつけた晶馬は、鷲塚医師から、陽毬が搬送中にうわごとで冠葉の名前を呼んでいたと聞かされる。一方、冠葉は、眞悧のキセキのような力を目にしていた。これなら陽毬の命を救えると確信した冠葉は、眞悧の求めに応じることに。だが、鷲塚医師の診断では、陽毬に残された時間はあとわずかしかなかった。

陽毬を助けるために世界を変えようとする冠葉。冠葉のやり方では陽毬を救えないという晶馬。対峙する二人を乗せ、運命の列車は走り出した。そんな彼らの前に苹果が姿を表わした。彼女は桃果の日記に記されていた呪文を使って、陽毬を救うと告げる。呪文を使えば、代償として呪いの炎に焼かれるという眞悧の言葉にも怯まず、苹果は陽毬を救いたい一心で呪文を使おうとする。


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輪るピングドラム
きっと何者にもなれないお前たちに告げる

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