幼い愛娘を惨殺され、復讐に燃える男が、謎めいた相棒の協力を得て報復劇に乗り出すが…。黒沢清監督が、哀川翔と香川照之の競演で描いた異色のハードボイルドアクション。1998年/86分。英題:serpent’s path
監督 | 黒沢清 | 「散歩する侵略者」「CURE」「蜘蛛の瞳」「カリスマ」 |
脚本 | 高橋洋 | 「女優霊」「予兆 散歩する侵略者」「おろち」「稀人」「リング」 |
撮影 | 田村正毅 | 「ドライブイン蒲生」「蜘蛛の瞳」「こおろぎ」「タンポポ」 |
音楽 | 吉田光 | 「復讐 THE REVENGE 運命の訪問者/消えない傷痕」「蜘蛛の瞳」 |
あらすじ
まだ幼い愛娘を何者かに惨殺された宮下は、自らの手で犯人に復讐することを固く決意。偶然知り合った塾講師の新島の助けを得て、ある組織の幹部・大槻を拉致・監禁した宮下は、大槻を半ば拷問にかけて、娘を殺害した実行犯の名を白状させようと試み、次いで宮下と新島は、そこで名の挙がった檜山をまたもや拉致・監禁すると、同様に厳しく締め上げる。新島にそそのかされ、檜山は適当な名前を挙げて急場を逃れようとするのだが…。
※以降はネタバレを含みますので、本編を視聴した後で読むことをおススメします。
登場人物
- 新島直巳(哀川翔)
難解な数式の解を解く数学塾の講師。冷静沈着で感情が高ぶりやすい宮下を抑えながら「やってみたかったから」と、犯人捜しに手を貸す。しかし、その裏で大槻と檜山に宮下は狂っており適当な犯人をでっちあげることを提案。大槻が有賀の名前を挙げると大槻と檜山に1発だけ銃弾が装填された拳銃を渡し、殺し合いをさせる。生き残った檜山も殺害し。組織の事務所を急襲し有賀を誘拐。有賀を餌に組織の構成員たちを廃ビルに誘い出す。
- 宮下辰雄(香川照之)
販売員。幼い愛娘を暴行された上に惨殺される。復讐を誓い、新島の助けを借りて犯人を捜す。新島が掴んだ情報から大槻が犯人と目星をつけ誘拐。拷問まがいのやり方で口を割らせようとする。しかし犯人が分からず、組織の人間を次々に誘拐していく。
- 大槻(下元史朗)
組織の幹部。新島と宮下にさらわれ廃工場に繋がれる。宮下の娘の事は知らないと弁明し、檜山が怪しいと宮下に話す。新島の話に乗り、檜山と結託し有賀が犯人であるとでっちあげる。しかし有賀のところに連れて行くのは一人で良いと、新島から銃を渡され檜山と拳銃を奪い合った末に殺される。
- 檜山(柳憂怜)
組織のボス。大槻から犯人は檜山ではないかと聞き出し、ゴルフ場で新島と宮下に誘拐される。宮下とは仕事上の知り合い。自分は宮下を評価しており、娘を殺すはずがないと弁明。犯人をでっち上げるという新島の話に乗る。大槻を殺し、有賀の元へ向かうが大槻が嘘の住所を言っていたため、新島に射殺される。
- 有賀(翁華栄)
大槻から宮下の娘を殺した犯人とでっち上げられる。檜山が誘拐されたことで組織を裏切ったと勘違いされ事務所に囚われていた。新島に事務所から助け出されるが、廃工場に連れていかれ鎖に繋がれ、宮下の尋問が始まる。
- コメットさん(砂田薫)
聾唖で足が悪い檜山の女。普段から杖をついているが仕込み杖で刀が仕込んである。ゴルフ場で新島と宮下に遭遇するが取り逃がす。清楚な見た目とは裏腹に執念深く、新島と宮下を追う。
- コメットさんの弟(丹治匠)
組織の構成員。檜山と大槻が誘拐されたことに有賀が絡んでいると勘違いし、事務所で拷問しようとしていた。事務所に襲撃してきた新島に失神させられ有賀を奪われる。有賀の誘いに乗り、廃工場に呼び出され新島と宮下に射殺される。
- 宮下絵美(小田彩美)
暴行された上に惨殺される。犯人は見つかっていない。
- 塾の少女(佐藤加奈)
新島の数学塾に在籍する天才少女。
視聴者の声
その凶々しい作家性を発揮した作品でもあり、これは北野武以降、Jホラー前夜の当時の才能の息吹に満ちた不吉かつ恐ろしい映画のメルクマールでもあります😊
— ウォーケンuzedit (@uzedit1) March 23, 2022
黒沢清作品って難解な印象があるんですけど、その理由は本来感情移入すべき主人公がいつも「無」だからなんですよね。何を考えて、実際どう↓ pic.twitter.com/jx1J4N1ryu
新文芸坐で黒沢清『蛇の道』『蜘蛛の瞳』。ヴェーラの黒沢特集で見逃していた黒沢×哀川翔二本を大スクリーンで観る幸せと恐怖。
— 田旗 浩一 (@tsukimoto_natsu) May 19, 2021
『蛇の道』(傑作)廃工場を哀川と香川の二重の復讐の血の海に変える不穏の連続。
『蜘蛛の瞳』唐突な繋ぎとダンカンの台詞回しが北野映画のよう。大杉漣の長回しが最高! pic.twitter.com/7YOe0RlfUi
『蛇の道』
— とろい/映画 (@TroyFilmArcher) July 26, 2022
怖かった〜!
最後の方ほぼホラー映画w
気持ち悪い方程式と生徒が気になるー
哀川翔と香川照之の演技合戦がすごい
体調がすこぶる良い時に観ることを強くおすすめします!!!!#映画好きと繋がりたい #邦画 pic.twitter.com/jt5dx2Vw4B
『蛇の道』1998
— マカロニ大聖堂 (@makaroni_seidou) January 4, 2021
対象が次から次へと蠢き続ける異様な復讐譚。上映時間の大半を占める廃工場のシーンでは、混迷を極める動線の妙と、絶妙なカメラ位置、そして奇怪な長廻しと黒沢映画の精髄が注ぎ込まれています。高橋洋の禍々しい脚本は言わずもがな、哀川翔と香川照之の怪演も最高。悍ましい傑作。 pic.twitter.com/oWuGqVRhUc
>「蛇の道」では、復讐のテーマが、最終的には人の人格を蝕む終わりのないサイクルとして探求されています。
— 役立たずの雌豚CAMO (@sumanko) June 10, 2023
この表現めちゃくちゃ好き。 pic.twitter.com/oNLB7wltD0
#ラストシーンが怖い映画
— ユウスケ (@bdbdDady) June 17, 2022
『蛇の道』
映画史に残る(独断)ぶっ壊れシーンからの最初から逃げ道なんてなかったんだなあという絶望がね…。黒沢清×高橋洋のこの系統の新作がまた観たいなあ。 pic.twitter.com/F2WlpVe5YU
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©KADOKAWA 1997
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